はじめに、限られた量のデータが収集されると、過去のすべての曜日の同一時間に対するベースライン平均が計算されます。 たとえば、2 日間の履歴の後に、午前 9:00 ~ 10:00 の期間のベースライン平均値が、連続した 2 日間における同一期間の時間単位ロールアップを平均して計算されます。
最終的に、より多くのデータが利用可能になると、計算方法が自動的に切り替わり、Data Aggregator は利用可能な過去の同じ曜日における時間単位のサンプルを平均して「標準」を確立します。 この方法では、使用率の曜日パターンを考慮に入れます。 この方法によって、「標準」のすぐれた概算値が作成され、誤った違反や誤検出イベントが生成される回数を減らすことができます。 上記と同じ例で、3 週間の履歴の後、ベースライン平均は、過去 3 週間に含まれる 3 回の月曜日の午前 9:00 ~ 10:00 の時間単位ロールアップを平均して計算されます。
注: デフォルトでは、この自動切り替えが発生するのは、過去 12 週間に、同じ曜日の同一時間におけるデータ サンプルが少なくとも 3 つ利用できる場合です。 必要な数のデータ ポイントが利用できなくなると、Data Aggregator は自動的に毎日の同一時間の計算方法に切り替わります。 これらのデフォルト設定は設定可能です。 これらのデフォルト設定の変更に関する詳細については、「Data Aggregator REST Web サービス ガイド」を参照してください。
ベースライン平均は、イベントとレポート生成のために計算されます。
例: CPU 使用率について、同一時間の平均および母標準偏差を計算
以下の例では、月曜日、火曜日、および水曜日の午前 2:00 に 3 つのデータ ポイントがあるとき、特定のデバイスの CPU 使用率について、「同一時間」の平均および母標準偏差がどのように計算されるかを示します。
以下の手順に従います。
曜日: 月曜日 火曜日 水曜日
平均 CPU 使用率: 76 65 10
母平均の計算式を以下に示します。
母平均 = 母集団のデータポイント値の合計/データポイント数。
この例の式を以下に示します。
(76+65+10)/3
母平均 = 50.33
この例での差分は次のとおりです。
25.67 14.67 -40.33
この例での二乗は次のとおりです。
658.78 215.11 1,626.778
この例での二乗の合計は 2,500.67 です。
この例での結果は 833.56 です。
この例での平方根は 28.87 です。
この例での標準偏差は 28.87 です。
以下の表に、曜日ごとの使用率データの時間平均、時間平均の平均値、および同一時間の時間平均の母標準偏差を示します。

例: CPU 使用率について、同じ曜日の同一時間における平均および母標準偏差を計算
以下の例では、3 つの月曜日の午前 2:00 に 3 つのデータ ポイントがあるとき、特定のデバイスの CPU 使用率について、平均および母標準偏差がどのように計算されるかを示します。
以下の手順に従います。
月曜日: 1 2 3
平均 CPU 使用率: 76 4 6
母平均の計算式を以下に示します。
母平均 = 母集団のデータポイント値の合計/データポイント数。
この例の式を以下に示します。
(76+4+6)/3
母平均 = 28.67
この例での差分は次のとおりです。
47.33 -24.67 -22.67
この例での二乗は次のとおりです。
2,240.44 608.44 513.78
この例での二乗の合計は 3,362.67 です。
この例での結果は 1,120.89 です。
この例での平方根は 33.48 です。
この例での標準偏差は 33.48 です。
以下の表に、曜日ごとの使用率データの時間平均、時間平均の平均値、および同じ曜日の同一時間における時間平均の母標準偏差を示します。

例: CPU 使用率について、同じ曜日の同一時間における平均および母標準偏差を使用した標準からの偏差
Data Aggregator は 5 分間隔で CPU 使用率データをポーリングしていると仮定します。 CPU 使用率が、単一の 5 分ポーリング間隔の平均から 1 標準偏差を超えるとイベントを生成するように、イベント ルールを定義します。
この例では、イベント ルールの期間およびウィンドウは共に 5 分に設定されています。
イベントが発生したときの計算式を以下に示します。
CPU 使用率 = 平均値 + 1(標準偏差値)
したがって、月曜日の午前 2:00 における、過去の同じ曜日の同一時間からの平均値と標準偏差値を代入します。
CPU 使用率 = 28.67 + 1(33.48)
CPU 使用率 = 62.15
その結果、月曜日の午前 1:05 ~ 午前 2:00 の間に、単一の 5 分ポーリング間隔で CPU 使用率が 62.15 を超えると、イベントが発生します。 このイベントは、CPU 使用率がそのタイムフレームの標準から逸脱したことを示します。
例: トレンド グラフ ビューで CPU 使用率イベントを確認
Data Aggregator は 5 分間隔で CPU 使用率データをポーリングしていると仮定します。 この例では、ビジネス上重要なサーバの 1 つが予想レベルよりも低い CPU 使用率になったときにアラートを受け取るようにします。 CPU 使用率が、単一の 5 分ポーリング間隔の平均から 1 標準偏差ぶん下回るときにイベントを生成するように、イベント ルールを定義します。
説明のために、月曜日の午前 12:00 から日曜日の午前 12:00 までの CPU 使用率が 50 パーセントであると仮定します。 日曜日の午前 12:00 から月曜日の午前 12:00 までに、CPU 使用率は 10 パーセントに低下します。 ユーザはこの使用率の低下を予想しています。 ただし、Data Aggregator がベースライン平均の計算を開始すると、CPU 使用率が 10 パーセントに低下したときにイベントが発生します。 CPU 使用率が 50 パーセントに戻ると、イベントはクリアされます。 誤ったイベントが発生する理由は、はじめに限られた量のデータが収集されると、毎日の同一時間に対するベースライン平均が計算され、異なる曜日での使用率の違いが考慮されていないためです。 Data Aggregator は、CPU 使用率が常に 50 パーセントであると予想しています。
3 週間後に、同じ曜日の同一時間におけるデータ サンプルが 3 つ利用できるようになると、ベースライン平均の計算方法が変更されます。 Data Aggregator は、同じ曜日の時間単位のサンプルを平均して、「標準」の値を確立します。 これにより、Data Aggregator は、日曜日の午前 12:00 から月曜日の午前 12:00 の間の CPU 使用率が 10 パーセントであると予想するようになります。 毎週日曜日の午前 12:00 に発生していた誤ったイベントは、発生しなくなりました。
以下のビューは、はじめに、毎日の同一時間に対するベースライン平均が計算されていることを示します。 より多くのデータが利用可能になると、計算方法が自動的に切り替わります。 Data Aggregator は、同じ曜日の時間単位のサンプルを平均します。
このビューは、計算方法の切り替えが行われると、誤ったイベントが発生しなくなることも示しています。
![ベースライン平均計算の切り替えによって誤ったイベントが表示されなくなった[CPU 平均使用率トレンド - イベント付き]ビュー](o2058918.png)
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